固定観念や既成概念に縛られたモノゴトを自由にする。
ネガティブなモノゴトをポジティブな価値に転換する。
その背景には自分がウチナーンチュ(沖縄人)であり、
どんなモノゴトにも、縛られず、平等に扱うといった、
ウチナーンチュ的モノゴトの捉え方を実感するからだ。
過去の作品では、レディメイド(既製品)と言われる、
素材としては、あまりにも日常的でありふれたモノを、
価値あるモノとして扱い、位相転換するコトによって、
新しい造形物へと変貌させる表現を数多く行ってきた。
直近では、直接的に「沖縄」をテーマに表現している。
沖縄で日常的なレディメイド「米軍放出品」を素材に。
戦争というネガティブなモノを、ポジティブなモノに、
戦後、ウチナーンチュのモノづくりの精神を表現する。
沖縄には、綺麗な海、空、島というイメージの一方で、
米軍基地や過去の戦争というイメージも強く存在する。
それはココで育った自分の基盤(ベース)に影響して、
過去を真っ白にしたくとも、黒い歴史は拭いされない。
といって、米軍基地に対する憎悪だけでは変わらない。
しかし戦後、生き残った沖縄のモノづくり文化がある。
米兵の捨てたレコードをヘラにし、軍用地図を型紙に、
使用済み薬莢を道具の一部とし作られた「びんがた」。
米兵の捨てた食品缶を胴体に、パラシュート紐を弦に、
収容所ベッドの木を棹とし作られた「カンカラ三線」。
米兵の捨てたコーラ等の瓶を再生した「琉球ガラス」。
米兵の捨てたモノや戦争の道具を忌み嫌わず受け入れ、
辛さや悲しみを乗り越える、明日への望みとしながら、
ネガティブから、ポジティブな価値のモノに転換した。
戦前から戦後へ伝統を絶やさず繋げ文化にまで高めた、
沖縄独特の「モノづくりの精神」があると考えている。
「ネガティブなモノを、ポジティブなモノに転換する」
そのメッセージと共に作品を通して伝え、表現したい。